要旨
エネルギー政策や温暖化対策などの政策評価のために多くの応用一般均衡モデル(CGEモデル)が開発されてきた。その多くが国内全体を一括して分析したものである。しかし、地域毎に家計の消費支出の構成や産業構造は大きく異なることから、同じ政策を実施するとしても影響は地域毎に大きく差異が生じると考えられるため、政策を検討するに当たって一国規模の影響のみを見るのでは不十分である。これまで、国内の多地域CGEモデルを用いて排出規制の影響を評価した例は極めて少なく、本稿では地域間産業連関表と整合的な地域別のエネルギー投入量、温室効果ガス排出量を推計し、新たに国内多地域CGEモデル(JCER地域CGEモデル)を開発した。温室効果ガス10%削減を課すシミュレーションの結果からは、鉄鋼や化学などのエネルギー多消費型産業を多く抱える地域や火力発電比率が高い地域でマイナスの影響が大きいことが分かった。
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