メディア掲載  グローバルエコノミー  2013.10.16

日本農政の問題

「都市住宅学」82号 2013 SUMMER 25頁~28頁に掲載

農業衰退の原因

 我が国農業は衰退している。農業総産出額は1984年の11兆7千億円から2011年には8.2 兆円に減少した。特に、減少が著しいのが米である。農業総産出額に占める米の割合は、1960年ころはまだ5割だったのに、2010年には、とうとう20%を切ってしまった。

 高い関税で国内市場を外国産農産物から守ってきたにもかかわらず、農業が衰退するということは、その原因が海外ではなく国内にあるということを意味している。しかも、最も衰退しているのは、最も保護されてきた米である。米でも、農地を大規模に集積しコストを引き下げたり、付加価値を向上させたりすることで、高い収益を上げている農家もある。20ha以上の米農家の農業所得は13百万円を超えている。しかし、野菜、酪農などでは、主業農家の販売シェアは8割を超えているのに、米は4割にも満たない。米だけ兼業農家が滞留している。

 これは、土地利用型農業である米について、土地利用規制(ゾーニング)が不徹底であるため農地の大規模かつ虫食い的な転用がされてきたこと、高米価政策によって零細農家が滞留し、規模拡大が阻害されたこと、減反政策が単位面積あたりの収量(単収)の向上を阻害したことなどの政策の失敗によるところが大きい。米農業がポテンシャルを発揮することを、政策が妨げてきたのである。農地資源は食料安全保障の基礎であるが、農業外からの転用需要、農業内の事情による耕作放棄により、大きく減少した。減反政策はこれを加速した。・・・


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