メディア掲載  グローバルエコノミー  2013.03.11

議員は支持者よりも組織票の動向を考慮

共同通信より配信

 特定の政策をめぐり、政党の支持者とその政党所属の議員の意見が一致しているかどうかについての分析がある。これをみると、ある党の支持者と議員が全く逆の方向を向いている場合も少なくない。


 例えば、自民党支持者の多くは環太平洋連携協定(TPP)参加が望ましいと考えているのに対し、同党所属議員の多くはTPP反対である。TPPは決してマイナーなテーマではないのに支持者と議員の意見が逆となる


 2011年11月に野田佳彦首相(当時)がTPP交渉への参加検討を表明すると、カナダ、メキシコは、日本が入るような広大な経済圏から排除されることを恐れ、慌てて参加を表明した。両国はすでにTPP参加を果たしている。しかし、今の政治状況では、タイやフィリピン、韓国が参加しても、日本はTPPには参加できない。大企業なら日本からTPP地域内に工場を移転できるが、中小企業は容易ではない。この結果、広大な地域から中小製造業が排除され、雇用が失われる恐れがある。


 11年の共同通信の世論調査によると、農林漁業者でも反対は45%、賛成も17%存在する。しかし、農家の数が減る中で貿易自由化に賛成の農家が増え、TPP反対の農家が減少していても、農業団体は自由化反対の声を強めている。2人の候補者が競っている小選挙区制では、たとえ1%の票でも相手方に行くと、2%の票差になってしまう。これを挽回するのは容易ではない。議員は多数の支持者の考えよりも、特定の問題について強い意見を持つ組織票の動向を考慮せざるを得ない。TPPに限らず、こうして支持者の多くの意見は、議員行動に反映されなくなる。