メディア掲載  外交・安全保障  2012.11.08

核兵器の非合法化声明

共同通信社より配信

 国連総会第1委員会で10月22日、34カ国が核兵器の非人道性に関する共同声明を公表した。声明の要点はこうだ。

 核兵器は巨大な破壊力により、空間的・時間的にあまりにも広範囲な非人道的被害を引き起こす。攻撃手段としての無差別性や不均衡性、過度の損害や不必要な苦痛を与える性質など、国際人道法上、問題となる多くの点に該当する。全ての国は核兵器を非合法化し、核兵器のない世界に到達する努力を強めなければならない-。

 核兵器が著しく非人道的であることは、それが違法であることの根拠となり得る。この点が核軍縮に関する主要なテーマの一つだ。 

 国際司法裁判所(ICJ)は1996年、核兵器が原則違法であるとの判断を「勧告的意見」として下したが、この判断には法的拘束力がなかった。そのため、この流れを強め、核兵器が違法であることを法的に確立しようとする努力が行われている。

 今春ウィーンで開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委員会では、16カ国が今回と同様の声明を発表しており、半年近くで参加国が倍以上に増えたわけだ。

 今回の共同声明作りに主導的役割を果たしたのはスイスやノルウェーであり、ニューヨークで声明を読み上げたのはスイスの国連大使であった。

 しかるに、日本政府はウィーンでまともに相談されず、ニューヨークでは賛同国としての署名を打診されたが、断った。

 ウィーンで日本が相談されなかった際、中国新聞(本社・広島市)の記者は「残念だったのは、この声明に唯一の被爆国である日本の名前がなかったことだ」と書いた。その通りだと思う。

 なぜこのような事態となったのか。それは日本が米国の「核の傘」に依存しているからだ。つまり核の抑止力を必要とする以上、核兵器を違法とするわけにはいかないとの考え方に基づいている。

 しかし、本当にそうだろうか。抑止力を必要とすることと、核兵器を違法とすることは両立し得ないのだろうか。

 私はそう考えない。核兵器が違法とされても、抑止力は保持しうるからだ。違法となれば、もちろんその使用は不可能だが、それはあくまで平常の事態を前提としている。

 平時には違法な行為であっても、その国の存亡にかかわる状況が訪れれば、違法性を阻却する場合がある得る点は刑法の理論でも認められている。

 NPTでも「異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合」、つまり自国の生存が脅かされる場合には、条約からの脱退を認めている。

 こうしたことに鑑みれば、核兵器が国際法上、非合法化されても、自国の生存が脅かされる究極の事態においては、核兵器の役割再考が認められる余地があるのではないか。

 百歩譲って、このような法解釈が確立していなくても、確立するよう努力することはできる。

 そうした論点も吟味せず、「『核の傘』への妨げになる」からといって、核兵器の非人道性と非合法化を主張した共同声明への署名に応じないのは、いかがなものか。被爆国の国際社会における姿勢が問われている。