メディア掲載  グローバルエコノミー  2012.01.19

「打破」か「維持」かで政党作れ

朝日新聞(2012年1月10日付「WEBRONZAから」)に掲載

 今年、政治の最大の争点は環太平洋経済連携協定(TPP)参加と消費税引き上げである。この大テーマを巡り、民主党にも自民党にも、賛成派、反対派が存在する。両党とも、国家の基本的な政策について主張を同じくする人が集まるという政党本来の体をなしていない。

 困るのは有権者だ。2010年の参議院選挙で消費税引き上げを主張した自民党が、民主党の消費税引き上げを公約違反とし、選挙で信を問うべきだと主張している。自民党の注文通り総選挙となり、両党とも消費税引き上げを公約に掲げて争うとすれば、有権者はどちらの政党を選択すればよいのだろうか。

 TPPで民主党も割れたが、自民党も賛成か反対か党内をまとめられない。両党とも選挙ではっきりと主張できないのなら、これまた有権者に選択肢はなく、民意を表明できない。

 TPPは参加か不参加か、消費税も引き上げるか否かの選択しかない。いずれの立場の国会議員も自己の主張を貫くなら、民主党、自民党とも壊し、現状の打破か維持かという基本的な政策枠組みを軸として、新たな二大政党を作るしかない。

 そうなれば、自らの議席を確保できるかどうかで政治家が離合集散する政策不在の政党政治から脱却して、有権者が政策で政党を選べる真の二大政党制を実現できる。1955年の保守合同は、自由党と民主党が合体して自民党を結成し、社会党に対峙するという体制を実現した。2012年も政治構造を変える節目の年となれるかもしれない。日本の政治も議席の確保より歴史の審判を気にかけるときが来たのではないだろうか。