レポート  グローバルエコノミー  2011.10.26

「TPPの論点」(TPP研究会報告書最終版)

  TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加については、当初これによって影響を受けると考えた農業界によって、強い反対論が示された。現在では、これに加え、TPPによってデフレが進行するとか医療や地方の建設業も影響を受け国の枠組みが壊れるなどと主張する書籍が、評論家と言われる人たちによって多数出版されている。そのような書籍を集めたコーナーさえある書店もある。これに対して、TPPが日本経済発展のために必要であるという書籍や論文はほとんど目を引かない。しかし、TPPを批判する書籍には、通商問題を巡る事実関係や国際経済法や国際経済学に関する誤解や誤認に基づく主張が少なくない。我々は、このような主張が国民の中に広く伝わることを憂慮する。
 本研究会は、経済学、法学、政治学の観点から、TPPを巡る事実関係やTPPに参加することの論点を正確に分析・整理するために、キヤノングローバル戦略研究所において開催されたものである。研究会では山下を座長として報告書記載のメンバーによって議論が行われた。
 同議論の成果は、「TPPの論点」と題してTPP研究会の最終報告版として添付した。また、同報告書の解説資料として、本年10月25日に当研究所が主催したシンポジム「TPPの論点」にて、山下が使用したプレゼン資料を添付する。なお、報告書はキヤノンやキヤノングローバル戦略研究所の見解を示すものではない。