メディア掲載  グローバルエコノミー  2011.09.29

復興財源政策 挙党一致を

中国新聞に掲載(2011年9月20日付夕刊)

 菅政権は「小沢外し」の路線を進め、党内対立が先鋭化した。野党の協力を得るためにマニフェスト(政権公約)の見直しが必要だとする反小沢派と、見直すべきではないとする親小沢派が対立した。この反省に立って野田首相は人事面で挙党態勢の実現に配慮した。
 その野田内閣になっての最初の大きな仕事といえる震災からの復興財源をめぐって、民主党内は対立している。そもそも復興基本方針で、復興財源を将来世代に先送りしないと明記し、歳出削減で足りない部分は臨時増税で補う方針を決定している。それなのに政府税制調査会では増税に反対する意見が小沢氏に近い副大臣から表明された。
 民主党政権が実現したのは、政党が政策の違いを訴えて政権交代を実現するという民主党の考え方に、国民が共感したからではないのか。
 今回の民主党代表選で各候補は政策の違いを訴えて争った。野田氏は復興財源としての臨時増税及び社会保障財源としての消費税増税を明確に主張した。たとえ違う候補に投票しても、政策で野田氏を選んだ以上、その政策に従うべきではないのだろうか。今度は親小沢派の人が挙党態勢に努めるべきである。
 政権交代を実現したマニフェストには、16.8兆円の財源を捻出するという前提があった。国民との約束と言うが、2年かけてもこれを実現できなかった以上、このマニフェストは死んだも同然である。
 今生きているマニフェストがあるとすれば、それは代表選での野田氏の主張である。もし政策的に相いれないというのであれば、政党が同じ政策の実現を目指す政治家によって構成されるものである以上、別の政党を立ち上げるべきである。それが政党政治の原点なのではないだろうか。