メディア掲載  エネルギー・環境  2024.02.27

トランプ氏と日米合意で「エネルギー・ドミナンス」確立の考え方

極めていびつな「パリ協定」の破綻、いずれ実質上の消滅も

夕刊フジZAKZAK2024219日)に掲載

エネルギー・環境

地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」は、先進国だけが実現不可能な「2050CO2(二酸化炭素)ゼロ」を目標とし、中国など途上国は何もしなくてよいという、極めていびつなものになってしまった。

もし、ドナルド・トランプ米大統領が誕生すれば、米国は25年にパリ協定から離脱する。日本も、経済を破壊するこの協定から離脱すべきである。日米が離脱すれば協定は実質的に消滅し、日米のみならず、欧州も「経済的自殺」から救われる。

そして、今年に日本政府が検討する第7次エネルギー基本計画(7次エネ基)は、安全保障と経済発展を担保するものにしなければならない。

新しく生まれ変わった日米は、友好国とともに「エネルギー・ドミナンス(優勢)」を確立すべきである。

エネルギー・ドミナンスとは、安価で安定したエネルギー供給によって、自国および友好国の安全保障と経済発展を支え、ロシアや中国などの敵対国に対する優勢を築く、という思想だ。米国共和党では、第1次トランプ政権の時から一貫した合言葉になってきた。

いま世界では安全保障状況が切迫し、経済面でもインフレが高じる中にあって、ますますこの重要性が高まっている。エネルギー・ドミナンスを確立する新しい国際枠組みを構想しよう。その第一歩は日米合意だ。

日米両国は、エネルギー・ドミナンス確立のために、①協力して原子力を推進し②米国から日本への天然ガスおよび石油輸出の長期契約を締結し③友好国における化石燃料の開発と利用を支援する。化石燃料事業への投融資を再開するよう、国際開発機関を変革する。

パリ協定の下では、グリーンイデオロギーが強く、原子力は毛嫌いされてきたが愚かなことだ。石油・ガスを米国から買うことは日本の安全保障にとって重要だ。敵対国であれ、テロリストであれ、米国からの輸送船に攻撃をかけることは強烈な報復を招くからだ。

いったん2国間合意が成立すれば、それを基礎として多国間協定を結ぶのは常套(じょうとう)的な外交手法である。パリ協定下で禁止されてきた、途上国における化石燃料事業への投融資の推進は、広く歓迎されるだろう。

なぜなら、それは経済発展の礎であり、安全保障の強化になるからだ。パリ協定の下での、先進国の「脱炭素」お説教に辟易(へきえき)してきたグローバル・サウス(新興国・途上国)から、広く参加を募ることができるだろう。

EU(欧州連合)は、このような動きからは当面は孤立する。だが、パリ協定の破綻は必定であり、いずれ実質上消滅する。日米に合流するほか無くなるだろう。

先進国は結束してエネルギー・ドミナンスを確立しなければ、ロシア・中国などの手ごわい敵対国に負けてしまう。「脱炭素」という幻想とは決別すべきなのだ。