その他  外交・安全保障  国際交流  グローバルエコノミー  2022.01.27

【ディスカッション・ペーパー】「政策人材活用研究会」ディスカッション・ペーパーの公表にあたって

本稿はディスカッションペーパーです

人材交流
横田 有弘
間中 健介

本研究会では、民間セクターと公的セクター双方での就業経験を有する構成員が集まり、官民の人材交流を題材として、企業人材が公的組織での就業機会を得ることの意義、効果等について議論を重ねている。本研究会の構成員の中で、プロジェクト・リーダーの伊藤は課長補佐級(参事官補佐)、サブリーダーの間中は室長級(企画官)の立場で複数年度にわたって行政機関での就業経験を持っていることに加え、国会議員秘書として立法府での実務経験を有している。

行政機関と企業、企業と経済団体といったようにセクターをまたぐ人材交流は、我が国の産業界全体から見れば限定的なものであるが、霞が関の府省庁全体では6,700名以上の民間人材が一定期間公務員として受け入れられており、配属先での業務遂行における人的資源として無視できない規模となっている。その一方で、行政機関のニーズに応じて人材を派遣する企業や、個人の意思で一定期間行政に身を転じる企業人材にとって、行政機関での就業経験がどのような意義や効果があるのかについて検証を試みた研究成果は少ないため、我々はこの点を分析・検証することに取り組んでいる。

これまでの研究会での議論を通して、まず、近年の産業界では、人材の流動性を前提とした採用、教育、登用、評価の手法導入が加速しているという現状認識で一致した。そして、DXの加速とカーボン・ニュートラル社会への移行は、あらゆる組織をアンバンドル化し、オーガニック戦略からインオーガニック戦略への転換を迫っていることから、企業は内部人材と外部人材をよりシームレスに融合していくとの確信に至った。

以上のように、本ペーパーでは、企業にとっての公的機関への人材派遣、および企業人材にとっての公的機関での就業経験の意義、さらには公的機関における企業人材の登用の意義について、インオーガニック戦略推進のためのナレッジ獲得と人材育成の観点から考察を行ない、その効果や課題等を抽出する。加えて、産官を超えた人的資本蓄積について提言を行う。


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