コラム  国際交流  2024.02.27

マクロ経済指標は緩やかな回復傾向ながら景況感はむしろ悪化の方向|中国経済情勢/ヒアリング

~主要経済指標と景況感のギャップ拡大の背景~

〈2024年1月22日~2月2日 北京・成都・上海出張報告〉

中国

<主なポイント>

  • 23年4Qの実質GDP成長率は、前年比+5.2%と、前期(同+4.9%)に比べ前年比では伸び率が上昇した。しかし、季節調整済み前期比年率を見ると4Q+4.0%と前期(同+6.0%)に比べて減速。
  • 工業生産、サービス業、製造業設備投資、消費財小売等の主要経済指標は、不動産関連を除き、7月をボトムに概ね緩やかな回復傾向が続いている。しかし、先行きについては不透明感が強く、企業経営者や消費者の景況感は回復せず、むしろ悪化方向。
  • マクロ経済指標回復と景況感悪化の間のギャップ拡大の背景は、第1に、企業収益の改善が鈍いこと。地方政府は主に国有企業に対して表面上の実績を改善させるため、需要を上回る生産拡大を要求した。これにより在庫が拡大し、需給バランスの悪化が販売価格の低下を招き、企業収益が低下。それが先行きの生産、設備投資、雇用・賃金に関する抑制姿勢につながり、景気下押し要因となり、企業の景況感は悪化した。
  • 第2に、不動産市場の停滞に歯止めがかからないこと。中国では個人の資産運用の60~70%は不動産関連だが、不動産価格の下落が続いており、回復時期が不透明。
  • 中央・地方政府は昨年夏場以降、様々な不動産市場活性化策を発表しているが、いずれも不動産価格の下落傾向を反転させるほどのインパクトがなく、価格下落が持続。
  • 第3に、民間企業のコンフィデンスの回復が遅れていること。
  • この状況を打開するには、中国政府の経済政策運営を担うリーダー層が現在の中国経済が直面する状況の厳しさを的確に認識し、景況感を回復させるための効果的な抜本的対策を早急に実施することが必要であると考えられている。
  • 3月の全人代で中国政府は今年の経済成長率予想を5.0%前後と発表すると予想されているが、景気刺激策を発動して何とか4.7~4.8%に達するのがやっととの見方が一般的。政府が不動産市場回復のための公的資金投入等の有効な政策の実施を見送れば、4%割れの可能性が高まるとの見方も多い。
  • 中国経済の先行きは不透明感が強いが、日独両国の主要企業は対中投資姿勢に関して従来通りの方針を変更することは考えていない。
  • 独企業は最近、中国人の優秀な技術者を見出し、ドイツに連れて行き、ドイツ人を教育する方針。その主な分野は電気自動車、人工知能、ITなどデジタル化技術関連。

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